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よみもの 【入門】ゼータ電位

【第5回】テラヘルツ分光による物性評価 -液体試料の測定 :セルと測定上の注意点-

3.屈折率・消衰係数での評価

この帯域の電磁波をよく吸収する水ですが、実際の測定結果から複素屈折率(実部が屈折率、虚部が消衰係数に相当)の解析を行いました。用いたデータは光路長100μmで測定したものです。図3が解析画面です。
下中央の赤い線で囲んだグラフが複素屈折率(黒:屈折率,赤:消衰係数)です。

図3.水の複素屈折率解析画面(スムージング処理あり)
図3.水の複素屈折率解析画面(スムージング処理あり)
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同様に代表的な有機溶媒についての測定結果をまとめたものが図4です。有機溶媒は市販品をそのまま測定しました。
図4からも明らかなように、水はこの帯域で特異な性質を示します。
屈折率は他の有機溶媒と比べ、非常に大きく水溶液の測定の難しさの原因の1つにもなっています。また、消衰係数も水が最も大きく、極性に依存した傾向が表れています。トルエンのようにほとんど極性がない溶媒では、ほぼ吸収がありません。

図4.各種溶媒の複素屈折率 (左:屈折率、右:消衰係数,いずれも2THzでの値)
図4.各種溶媒の複素屈折率 (左:屈折率、右:消衰係数,いずれも2THzでの値)


次に他の液体としてイオン液体の測定・解析結果を図5に示します。
イオン液体は融点が低く、常温で液体状態のイオンです。回収再利用が容易で、環境への負荷が低い溶媒として注目されており、二次電池や燃料電池などへ応用され始めています。
ここで紹介するものはいずれもテトラフルオロホウ酸塩で、比較のために水とエタノールのデータも合わせて表記しています。屈折率はそれほど高くなく、エタノールに近い値でした。
一方、消衰係数は比較的大きく水に近い値を示しました。複素屈折率を指標とすると、イオン液体は水と有機溶媒のいずれとも異なった性質を示しました。このことは、イオン液体の特異な性質が表れていると考えることもできるのではないでしょうか。

図5.イオン液体の複素屈折率(左:屈折率、右:消衰係数、いずれも2THzでの値、A: 1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoro borate,B: 1-allyl-3-ethylimidazolium tetrafluoro borate)
図5.イオン液体の複素屈折率
(左:屈折率、右:消衰係数、いずれも2THzでの値、
A: 1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate,B: 1-allyl-3-ethylimidazolium tetrafluoroborate)


今回はテラヘルツ帯域における液体の測定を紹介しました。ここでは液体自体を測定対象とし、溶液の測定(溶質の情報を得る)は行っていません。溶液の測定は、可視や紫外の分光と同様に溶媒のみをリファレンスとして測定することで可能です。しかしながら、種類によっては溶媒自体の吸収が問題になる上に、実際に溶質の情報を得るにはかなり高濃度の溶液が必要ですので、可視・紫外の測定とは違う注意を要します。

 

それでは、次回をお楽しみに。

(2011/03)
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